4 セクシュアル・ハラスメントの具体的事例
どこからがアウト(セクハラ)でどこまでならセーフか?線引きの基準は?どこまでいったら懲戒か?…。常に提起される疑問ですが、残念ながら明確にこれらの問いに答えることは今もって困難です。それは、定義のところで述べたとおり、「不快にさせる」という受け手側(相手方)の主観が入り込む問題だからです。同一人物による同一の言動に対して、受け手側がこれを不快と捉えるか否かを確実に予測することは、(刑事罰に相当するような極端なケースを除き)不可能といわざるを得ません。
それでも、セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として考えられるものを例示することはできます。以下に、職場の内・外で起きやすいケースを、「性的な関心や欲求に基づく言動(発言と行動)」及び「性別により差別しようとする意識に基づく言動(ジェンダー・ハラスメント)」に分けて例示します。(人事院規則10-10の運用通知に示された『セクシュアル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針』参照)
○職場内あるいは職場外でも起きやすい言動の例
[発言関係]
1] 性的な関心や欲求に基づくもの
・スリーサイズを尋ねるなど身体的特徴を話題にする。
・個人の性生活や性的体験について質問する。
・性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とする。
・聞くに耐えないような卑猥な冗談を(周囲に聞こえるように)交わす。
・体調の悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などという。
2] 性的な差別意識や優越意識等に基づくもの
・「女性は職場の華でありさえすればよい」、「女に大事な仕事は任せられない」、「男だったらもう少し根性を出せ」、「男のくせに女々しい態度をとるな」などと発言する