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(5) 受診勧奨

受診勧奨に当たって何よりも肝要なことは、本人の人権を最大限に尊重することである。心の病に対する誤解や偏見が未だ残っている現状では、これを前提として進めない限り、本人はもとより家族を動かすこともできない。

実際に受診を奨励する場合、その対応は本人の状態によりケース・バイ・ケースということになるが、あらかじめ精神科医や管理医等と勧奨の際の話の持っていき方やその時期等について十分に打ち合わせをし、職揚として勧奨が可能であれば、本人が信頼を寄せている上司などが勧めることとなり、また、家族による勧奨の方が有効と思われる場合は、家族と職場側が十分に相談のうえ、家族が主体となって話を進めることとなる。

なお、受診する場合に、いきなり精神科や神経科に行くことに対して本人が抵抗感を抱くこともあるので、このような場合は、他の診療科を受診させて、徐々に専門の診療科につなげていくという方法もある。

 

6 職場復帰と再発防止

(1) 受け入れ体制の確立

職場復帰の可否を決定するにあたっては、精神科医など複数の判定者による職場復帰判定委員会を設けてそこで判定する方法、職場に精神科医等の専門医が確保されている場合はこの専門医の判定による方法があるが、職場の実情に応じた適切な方法を選択すべきである。いずれの場合でも、主治医が外部の医師である時は、職場の状況をよく知る専門医が復帰予定者を面接したうえで行われることが望ましい。

復職の時期と職種については、復職して適応していけるかどうかをみるわけであるから、機械的に一律には決められず、やはりケース・バイ・ケースということになる。本人の希望とか受け入れ側の状況とか、場合によっては不適応の要因となった事情との関連も考慮しなければならない。

 

 

 

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