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エ 日頃から、心の健康に対する認識を高めて、簡単には職場不適応等に陥らないよう、また、軽度のうちに立ち直れるように適応力を強化することである。そのために行うべきこととして、一つは、自分の能力を高めるための自己啓発に努めることであり、もう一つは、ストレス耐性を培ったり、自分の感情をコントロールしたり、また、様々な経験を積むなどして、心の柔軟さと弾力的な復元力を培う努力をすることである。自立訓練法や座禅などはこのための一つの方法である。

オ なお、ストレスを蓄積させないため、日頃の生活の中において余暇を積極的に活用し、例えば、趣味、スポーツ、芸術活動、娯楽、友人との語らい等で気分転換を図るなど、ストレス解消に取り組むことも大切なことである。

 

5 職場不適応の早期発見とその後の措置

(1) 早期発見の必要性

心の病を含めた職場不適応の早期発見については、心理テスト等のスクリーニング検査を行って発見することは実際上非常に困難であり、また、不適応状態に陥っていながらも、職場はもとより家族にもひた隠しにしたりする人が多いなど、身体的な疾患の場合に比較して発見が困難であるといえる。

しかしながら、心の病はもとよりその他の職場不適応についても、身体的な疾患と同様にできるだけ早期に発見し、早期に適切な治療を行うことが、本人の健康保持のためにも職場の環境や人間関係の調整のためにもよい結果をもたらす。近年、効果的な向精神薬の開発や精神療法の進歩もあって、早く治療を始めればそれだけ回復が早く、再発の頻度も減るのである。

(2) 職場カウンセリング(管理・監督者の役割)

職場不適応等の早期発見の面において、職場の管理・監督者が果たす役割は重要である。日常的には部下職員と直接接触し、その勤務ぶりを常時見ている立場にあり、更に私的な付き合いも含めれば、部下職員の言動等の変化をいち早くキャッチできるわけで、それが健康管理医等に伝えられて、職場不適応の早期発見に役立つことになる。

 

 

 

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