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とりあえず、医師の診断書に従うとして、軽作業という指示があるなら、何かそれに見合った仕事を探さなければいけないことになります。ところが、現実の問題としては果たして軽作業というような仕事があるかどうかということでしょう。むしろそういう仕事は職場としては探してもなかなか見つからないというのが正直なところかもしれません。

もちろん、職場不適応に陥った人が適切な対応によって、ほとんど元の仕事に戻っても大丈夫だという状態に回復することもあるわけですから、ある程度まではよくなっているが、どうも職場に戻って完全に元の仕事に就くのは少し無理だという判断の時にこの問題が出てくるわけです。これは職場不適応の性質や背景にあるものによって左右されることが多いと思われます。

 

(3) 職場復帰後の問題について

そこでもう一つ大きな問題があります。今の時点では完全に回復していない、したがってあいまいないい方ですが軽作業を見つけてそれをやってもらうとして、いつになったら完全に復帰できるのか。どこの職場でも定員というのがありますから、そういう職員を抱え込んでいると、他の職員の負担が大きくなるであろうということは目に見えています。

ここでは、主として心の問題について述べているのですが、身体的な疾患の場合、例えば胃潰瘍で手術を受けた職員が、職場に出てきて、医師の指示で、最初の一ヶ月は半日勤務、次の一ヶ月は一日の勤務でいいが、残業、超勤、出張は控えるように、次の月からは、全く通常勤務でいいということになると見通しがある程度つきますから、職員同士お互いのことだからと、見守ってやることができるわけです。ところが、職場不適応や精神疾患の場合、なかなかその見通しを付けにくいということがあります。仕事をしながら徐々に様子をみてということになると、「だれもなりたくて病気になったわけではない」とはいいながらも、長くなると他の職員の不満が表面化してくるというのも無理のないこととも思われます。カウンセリング・マインドということはともかくとして、職場はリハビリテーションの場ではないのではないかという声も出てくるわけです。

 

 

 

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