(2) 職場復帰について
ここでは、メンタルヘルスに関して取り上げてきていますので、心の病気についての職場復帰等について考えていきます。これについては、更に上司や周囲の配慮、つまりカウンセリング・マインドということが重要になってくると思います。具体的な職場復帰の手続きなどということになりますと、単に疲れたからしばらく休んだというようなことは別として、少し長期に休んだ場合などは、大抵何らかの医療的な関与があると考えられます。もちろん薬の投与などだけでなく、カウンセリングなども含むわけですが。
そこで、職場復帰に関しては、本人の希望もさることながら、職場復帰が大丈夫かどうかという客観的な判断も必要となってきます。
よく職場復帰判定委員会というものを設けているところがありますが、具体的にどこの職場へ戻すかなどということについては、事務的な問題も出てくるでしょうから、人事や厚生関係の人たちの関与も必要ですが、心の病気の種類や程度にもよりますが、病気休暇や休職をしていた場合には、診療に従事していた医師にまず職場復帰可能かどうかの判断を求めることになります。
当然、医学的な判断が第一ですが、本人や家族の希望というのも無視できないわけです。
医師としては、少し首をかしげるような場合でも、本人の強い希望があったりすると、職場復帰可という診断書が出てしまうこともあり得ます。
また実際にあった例ですが、自宅療養をしている職員がいて、「身体のどこも具合が悪いようには見えない」ということで隣近所の目が気になる、子供が学校で「君のところのお父さんは、ずっと家にいるけれど会社へ行かないの」と友達に言われ、帰宅して父にどうしたのかと聞いたとか、また「休んでいて、収入が減りローンの返済を含めて家計が苦しい」からなどのために、職場復帰してもいいという診断書を発行して欲しいという申し出があったということがあります。