それでも、上司などに自分から不調を訴えてくる場合はまだいいのですが、周囲が何となく気付いているのに、自分からはいってこない、あるいは気が付いていないということもよくあって、この場合の方が対応に困ることも多いかと思います。
よく精神病の人は病気の自覚がないといいます。一概にそうとはいい切れないのですが、そういう傾向があることは確かのようです。ここで精神病といっているのは、前に述べたことの繰り返しになりますが、たちの悪い病気という意味ではなく、発症の要因が主として素因と考えられる精神分裂病などと考えてください。念のため、そういう病気の人に差別的な考えをもっているのではないということは付け加えておきます。
ただ、このような狭い意味での精神疾患でも、はっきりした自覚ではなくても、何となく病気かなという感じ−病感−を持つ場合もあるといいますが、この辺は、精神科領域のことでもあるので余り詳しくは説明しません。もう一度、後でもいいますが、精神病だからカウンセリング・マインドは必要ないとか、無意味だとはいえないとは思います。必ずしも狭い意味の精神疾患ではなくても、自分で気付かないというか、気付こうとしないという場合もあるようです。
(2) 職場不適応の発見方法
職場不適応の中で、前に述べた精神的不健康の分類の中の人格障害といわれるものは、ある時期からトラブルが目立ってくるということもありますが、大抵は、前々から何となく周囲が気付いているということが多いようです。具体的にどういうことかというのは、簡単には説明できませんが仕事の面での能力という点では大抵問題はないのですが、物の考え方が世間一般の常識から考えて、ひどく偏っていたり、自分勝手なことが多かったりとか、同じようなことですが、周囲の人と協力、協調してやっていくことができないなどということが多いようです。この場合もなかなか自分でそれに気が付いてくれないことが多いことが、周囲にとってなお困ることにはなります。