11 二次介入とカウンセリング・マインド
(1) 二次介入とは
職場不適応者を出さないための職場の対応については、一次介入のところで説明しました。あわせて、個人としての心構えなどについてもふれましたが実際には、いろいろと対応してみても完全に職場不適応を防ぐことはできません。もっとも完全に予防が可能であるならば、ここで述べる二次介入とか、この次の三次介入という考え方はいらなくなるわけですが、それは無理なことです。といっても、職場不適応に限らず、一般の病気でも予防ということが一番重要であることは、改めていう必要はありませんが。
職場がいろいろと配慮し、上司がいわゆるカウンセリング・マインドでもって対応しても、職場不適応者あるいは精神疾患等が完全に防ぎきれないのは、一概に対応の不十分さとかまずさとはいえません。
一つには、ストレス、心因などの環境要因によって起こってくる群では、大きなストレスとか精神的負担などがある場合で、これは第3巻の「6 精神疾患と労働災害」のところで詳しく説明しますが、突発的な出来事があったり、予期しない事態が起こったりするなどのことも含まれますし、たまたまその人の一般的な健康状態が余りよくなくて心身の調子を崩してしまうということがあり得るでしょう。
もう一つは、その不適応の背景にあるものが、従来診断でいう内因性の精神疾患である時は、既に「5 精神疾患等発症の要因」のところで説明しましたように、主としてその人の素因が元になって発病する場合で、精神分裂病とか、躁うつ病などであることは前に説明してあります。このような時に、カウンセリング・マインドが無意味とはいいませんが、それだけでは予防は困難であること、ストレスがなくても発症することがあること、不幸なことですが実際にはそういう事例があります。
そこで、職場不適応に対する、初期の対応ということが重要になってきます。