これは決して勤務評定などということではなく、できれば適材適所という観点での配置を考えることが大切なことです。職場の事情で必ずしも理想的にはいかないことはよく分かりますが、上司としては自分の思い込みだけで対処しないようにすることです。また、単に能力の問題というのではなく、どちらかといえば、狭い範囲での適応をもっているという職員もいます。その辺もよく考えての仕事の振り分けが、結局、職場全体としての能率も向上し、職場不適応を防ぐことになり、広い意味ではこれもカウンセリング・マインドということになりましょう。
もうひとつ極めて大切なことは、職場の中での人間関係のことです。これは上司と部下、部下と上司、同僚間などがありますが、実際にストレスとなることのアンケートでは、上司とのトラブルがハイランクであることはすでに示しました。他の人間関係の中でもカウンセリング・マインドということはないわけではありませんが、ここで一次介入として取り上げるとすれば、やはり上司の部下への対応が一番大きな問題になろうかと思われます。上司、中間管理職の立場などで、カウンセリング・マインドというのは、やさしくするようにとか、穏やかな態度とか、無理なことを押し付けないようにするとかという単純なことでないのはいうまでもありません。
(2) 部下や上司との付き合いについて
どういう上司がよい上司なのかということを規定することもなかなか難しいのですが、何度もいうように、一人一人の性格や人生観は異なるわけですから、確かにその違いは、良くも悪くも人間関係のひずみとなってくることはよくあることです。よほど変わった性格の持ち主はともかくとして、結局相手をよく理解できるかどうかということになるでしょう。ですから上司としては、自分の性格もよくわきまえてということも必要になります。