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9 カウンセリング・マインドとは

 

このことについては、第1巻で詳しく述べられていますので、少しだけふれておきますが、一部の精神疾患や、神経症群に入るもの、また最近ではPTSDとかストレス反応などに対して、治療的な意味でカウンセリングを行うのが普通になっています。カウンセリングの技法はともかくとして、その範囲は極めて多岐にわたっていて、思春期の問題や一部の性格障害などにも行われます。もちろん、職場不適応とされるものもその対象となります。専門的には、カウンセラーといわれる職種の人がカウンセリングを行うわけですが、不適応を起こした人たちだけを対象とするのではなく、職場でも学校などでも不適応に陥らないためのカウンセリングということが大切だと考えられています。このことは、これから述べる一次介入、二次介入、三次介入のところと関係してきます。

カウンセリングの重要性はそれとして、また専門のカウンセラーの人たちが、いろいろな職場を全部カバーできるだけの数の問題はともかく、その前の問題として、上司などのカウンセリング・マインドという考え方、対応が職場のメンタルヘルス、特に職場不適応を起こさせないために重要だということになってきます。具体的なことは、第1巻を参考にしてもらうことにして、それではカウンセリング・マインドというのはどういうことでしょうか。

第1巻と重複するところがあるかもしれませんが、職場だけでなく社会の中で生活する人たちは、それぞれ性格も物の考え方も日常の生活への姿勢なども異なるわけです。よほど特別な性格の人は別として、このような個人個人の姿勢を尊重し理解して付き合っていくということがカウンセリング・マインドということのように思います。相手の身になって考えるということともいえるでしょう。実際には口でいうほど簡単なことではないかもしれませんが、このことが、人間関係を円滑にし、仕事の面でもよい影響をもたらし、結果的には職場不適応の発生を予防することになるということになります。

 

 

 

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