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8 職場不適応とは何か

 

精神的不健康、精神疾患などのところでも説明しましたが、精神科の診断は一部の病気を除いては身体疾患のように検査などで、はっきりした根拠が見出せるわけではなく、職場内外のストレスの有無や生活歴を含めたこれまでの経過やインタビューした医師の経験などに基づいてなされることが大部分です。そこで、ひとりの人について、見方によって別の診断がつくということもまれではないわけです。また、確かに、精神面や行動の上で普通でないと思われても、はっきりした病気があるといえないことさえあります。

職場のメンタルヘルスを考える上では、何々病が有るとか無いとかいうことよりは、心身が健康で、つまり正常の状態で−これも何が正常かということをどう見るかということもありますが−業務に支障がないということが問題となるわけですから、逆にいえば、病気のあるなしでなく、職場内での仕事が円滑にいかない状態を職場不適応というと考えればよいかもしれません。したがって、職場内では問題があっても精神疾患ではないということも多いともいえます。

具体的にはどういう状態が考えられるでしょうか。

仕事そのものについていえば、仕事上のミスが多い。必要以上に仕事に時間がかかりすぎる。要求された内容にふさわしくない結果の出ることが多すぎるなど。

もちろん、自覚的に不調を訴えることもあるとは思いますが、どちらかといえば、周囲で気が付くことの方が多いようです。

 

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周囲から見て、仕事に熱が入らないようだ。疲れ切った様子である。仕事の能率が上らない。

 

 

 

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