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7 ストレスと精神疾患

 

このことについては、すでに述べた精神疾患発症の要因や精神疾患の分類のところと重複することが多いので、改めて詳しくは説明しませんが、特に職場の中でみられる精神疾患等については、従来診断では心因性疾患といわれるもの、ICD10では、F4に分類されるストレス反応、心的外傷後のストレス障害とか、それらによるうつ状態などが、内因性の精神疾患や、ICD10でF2などに含まれるものに比べて、圧倒的に多いことは確かです。はっきりした割合を示すことは困難ですが、職員の中で精神科や心療内科を受診した人がどのくらいいるかという調査も、個人のプライバシーの問題がありますので難しいことが多いと思われます。しかし、一般的に、職員の2〜3%が、受診あるいは相談に行ったことがあるといわれているようです。その中で、狭い意味での精神病、例えば精神分裂病などは、ごくわずかであるということも確かです。人口一般の中での精神分裂病の発病率、罹病率というのは、診断基準にもよると思いますが、せいぜい0.2%位ともいわれていますので、それを考慮すれば、いわゆる精神病といわれるもの以外のものが大多数であるということが分かるかと思います。単純な不眠症とかアルコールの問題などの相談もあるでしょうが、職場の業務や人間関係に関連しての精神不調を訴えるケースが多いようです。この中には、精神疾患とまではいえないが次に述べる職場不適応といった例も含まれると思います。

もっとも精神病ではないといっても、すべてが職場のストレスによるというわけではなく、本人の性格の問題とか、脳や身体の病気からの症状、自分の病気や家庭の中での悩みなどが、要因となって起こってくるものもたくさんあります。

ここでは、精神疾患とストレスとの関係ということではなく、職場でみられる精神疾患などの中には、ストレス関連のものが多いと考えられるということにとどめておきます。

 

 

 

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