便利な診断名である反面、あいまいなところもあるので、次第に使われなくなってきている傾向がある。
心の深い底の意識されにくい、隠れた動機が心因とされる時にはむしろ神経症の診断がつくことが多いと思われる。
(反応性うつ病、抑うつ反応、心因反応の診断名はお互いにオーバーラップすることがあろう)
カ 抑うつ神経症
うつ症状としては、比較的軽症のことが多い。内因性とか心因性と正しく分けることは難しいが、内因性のうつ病のようにはっきりした周期性を示さず、一方でストレスなどによって症状の動揺や変化を見ることがある。
抑うつを主症状とする神経症のカテゴリーのもの。
一般に神経症とされるものは、性格と環境要因が関係するが、そのウエイトによって、性格神経症とか環境反応とかいうこともある。
抑うつ神経症の一部には、依存性人格障害などの人格障害(性格の偏り)を伴うこともある。
キ 自律神経失調症
診断名としては比較的多いが臨床的にはあいまいなところもある。自律神経(交感神経、副交感神経)に支配される諸器官の機能障害で、本来はこれが特発的に起こるものと考えられるが、種々の心因によって起こるものも多くこの場合はむしろ神経症と診断するのが正しいかも知れない。一応、種々の身体症状を訴え、臨床検査所見に異常を認めないものとしておく。
したがって、主観的に訴えられる症状は、極めて多彩で、動悸、息切れ、発汗、めまい、肩こり、胃腸症状、性機能障害、排尿障害など、挙げればいくらでも有り得る。
ク 神経衰弱状態
精神身体的な故障をひどく訴えて悩むが客観的にはたいしたことがないように見える状態で、主として主観的な故障感、不全感の強い状態。