精神疾患などでこのことが問題になるのは劣悪な環境の元であったから、狭義の精神疾患、従来診断でいう内因性の精神疾患が発症したということがあるかどうかということです。
全く否定もできないしといって、すんなり肯定もできないというのが正直のところでしょう。しかしこれは労働災害の認定の時などで一応は問題になることがあります。実際はよほどのことがない限り、否定的な判断をされることが多いようです。心因というからには、だれもがある程度はそうだろうと納得できるものをいうことになります。
エ 身体要因
最後に身体要因として挙げたものは、様々なものを含みますが、労働災害と関係のあるものとしては、かなり特殊なものになると思います。
生物学的要因とも言いますし、内因性、心因性に対して器質性といわれる精神疾患群があります。細かい説明は省略しますが、様々な身体疾患があって直接その為に精神症状を示すものがあります。特に説明はしませんが、バゼドウ氏病、膠原病、肝臓、腎臓疾患、糖尿病などがあります。
病気を苦にしてうつ状態になったりすると、それは心因性の方に入れられることになります。
更年期性−ホルモンのバランスが崩れる−、退行期といわれる、心身の老化現象などが精神症状を引き起こすことがあります。この場合、単純に生物学的因子とはいえないで、年齢を感じての悲哀感や、むなしさなどのむしろ心因といった方がいいものが関与してくることも多いようです。
精神疾患発症の要因というのは、それによって治療も含めての対応に大きく影響してきますし、労働災害の認定の際にも、是非の判断に影響してくることがあります。
ただ問題は、精神疾患などの発症は、前にも述べたように、一つの要因のみでということはまれで、いくつかの要因が重なっての多因子性と考えた方がいい場合が多いようです。