配偶者が死んだり、失恋して楽しいということは無いはずですし、仕事がハードだったり、仕事にミスがあって嬉しくて仕方がないなどということはあるわけが無いからです。
人間以外の動物でもストレスによって様々な症状が現れるといいますが、これは少し本筋からはずれますのであえて例は挙げません。
ただストレス関連で起こってくる様々な身体症状ないしは身体疾患があり、これは後で、心身症として例示しますが、この場合は、ストレスが生体の自律神経系統や内分泌系統(ホルモン)のバランスを崩し、それによって身体病が起こってくるといい、心因が関係する身体の病気という意味で心身症といわれます。心療内科でよく取り扱われ、精神科と身体科の中間の病気のようにもいわれますが、そういってしまえないところもあるようです。
もう一つここで言えることは、このような心因性、ストレス性といわれる精神、身体疾患でも、個人の素因が全く関係がないわけではありません。よくストレスに強いとか弱いとかいいますが、確かに同じような出来事−心因とかストレス−があって、だれもが同じような精神的な反応や症状を示すわけではありません。もちろん、ストレスに対する個人の受け止め方や対応に問題があるともいえますが、やはり受け止める側の性格や素因が関係することは否定できません。結局、前にいったようにどの要因にウエイトがあるかということになります。
あとで述べる身体的な要因も含めて精神疾患等の発症は一つの要因にだけよるものではなく複合したもの、多因子性であるといった方がいいかとも思います。
ウ 結実因子
次の結実因子と書いたものは、場合によっては、今の環境要因に含めてもいいのですが、発症の直接のきっかけとなったものという意味で一応別に取り上げました。
身体的な疾患で、分かりやすい例を挙げれば、最近また問題になってきている肺結核は、原因はといわれれば、結核菌であることは間違いありませんが、発症しやすい体質もあるといわれていますし、例えば、過労、栄養低下などのため発病した時、それを肺結核の原因とはだれもいいませんが、それらが発病の引き金となったと考えることはできるわけです。