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もっとも将来医学の進歩によってこれらの原因がもっとはっきりするかもしれません。

現在のところでは、発症しやすい体質というのが、一番大きなウエイトを占める精神疾患があるということになります。後で述べる精神疾患の労働災害認定のところでは、問題になることがよくあります。

ただし、次に述べる環境要因、ストレスなどが発症に全く関与しないかどうかということになると、全くとか絶対にといういい方はできませんが、発症のきっかけになることはあり得ても、それがあとで説明する内因性精神疾患発症の主たる要因とは考えにくいということになります。

イ 環境要因

実際に環境要因が主に関係するのは精神疾患の中では、「神経症圏内」といわれる疾患群が多いといえます。

疾患の説明はあとでしますが、従来診断的にいうと心因、つまり精神的に負担になること、心の重荷になることが要因となって何らかの精神症状を示すことがあり、心因性精神疾患ということもあります。

心因を一言でいわれるものの多くは、これまでに述べてきた精神的ストレスといってもいいかもしれません。環境要因、ストレス、心因といった言い方はほほ精神疾患発症の要因に関しては同じような意味合いと考えてよいかと思います。その内容については様々で挙げれば切りのないことになりますので、前に述べた「1 ストレス(ストレッサー)とは」、「2 職場のストレス」を参考にしてください。

そこで、ストレスによってなぜ精神疾患などが発症するのかということになりますが、これもそう簡単には説明しきれません。ただ、ストレスとか心因とか精神的葛藤とかいわれるものが、生物にとって、精神的な重荷となって、うつ状態とか、いらいら感とか、不安感などが生じてくるというのは、納得はできるところです。これを脳の機能のレベルから説明することもできるかもしれませんが、ここでは常識的にそういうことがあればそうなるだろうという程度に考えておいてください。

 

 

 

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