5.2 求められる砂浜の姿とは
評価軸を設定するにあたっては、先ず砂浜に対して望まれる姿を明らかにしておく必要がある。砂浜に関するイメージに関しては、わが国では今まで利活用の面からの要請は整理されてきたが、生物の生息環境の保全という面からの十分な検討がなされてきていない。
これは、砂浜海岸における生物・生態学的な理解が未だ十分で無く、その結果、砂浜に対する人々の視点が、利用面に偏っていることにも起因すると考えられる。
2000年12月に、総理府および海岸4省庁(当時)が行った「海辺ニーズに関する世論調査」の第3回目の結果が公表された1。この中で、「将来の海辺への要望」について選択式で回答を求めているが、10項目の選択肢からの複数回答では、「動物や植物の生息・生育地を守ることに努める」が第3位にあげられている。海辺の生き物に対する関心が無いわけではないようである。今後は、砂浜を利用する人々が、具体的にどのような生物に興味を向けているのかなど、生息する生物に関して向けている意識について、より詳細な検討を並行して行っていくことも必要である。
1 調査結果については、総理府のホームページ(http://www.sorifu.go.jp/)に掲載されている。