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5. 砂浜環境評価手法の検討と今後の課題

5.1 評価の全体フロー

砂浜の機能の評価にあたっては、多面的な評価が必要となる。評価手法を検討する際には、先ず、社会的な要請を踏まえて望まれる砂浜の姿を明らかにした上で、どのような側面から砂浜のもつ役割や価値を評価するかという評価軸を設定することが必要である。次に、この評価軸に対応して砂浜の持つ、役割や価値の大小を判定するための指標を設定して、評価軸別に藻場・干潟の担っている機能の大小を判定することが必要となる。さらに、個別指標による評価をいかにして総合的に評価するかという総合化の方法についても検討が必要と考えられる。

実際の藻場・干潟の公益機能の評価は、これらの検討に基づいて行われることになる(図5.1)。

 

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図5.1 評価の全体フロー

 

5.2 求められる砂浜の姿とは

評価軸を設定するにあたっては、先ず砂浜に対して望まれる姿を明らかにしておく必要がある。砂浜に関するイメージに関しては、わが国では今まで利活用の面からの要請は整理されてきたが、生物の生息環境の保全という面からの十分な検討がなされてきていない。

これは、砂浜海岸における生物・生態学的な理解が未だ十分で無く、その結果、砂浜に対する人々の視点が、利用面に偏っていることにも起因すると考えられる。

2000年12月に、総理府および海岸4省庁(当時)が行った「海辺ニーズに関する世論調査」の第3回目の結果が公表された1。この中で、「将来の海辺への要望」について選択式で回答を求めているが、10項目の選択肢からの複数回答では、「動物や植物の生息・生育地を守ることに努める」が第3位にあげられている。海辺の生き物に対する関心が無いわけではないようである。今後は、砂浜を利用する人々が、具体的にどのような生物に興味を向けているのかなど、生息する生物に関して向けている意識について、より詳細な検討を並行して行っていくことも必要である。

 

1 調査結果については、総理府のホームページ(http://www.sorifu.go.jp/)に掲載されている。

 

 

 

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