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【底生生物の浄化能:葛西海浜公園における研究例】

東京湾奥部に造成された葛西海浜公園他の人工海浜では、砂浜(干潟)の浄化能に関する一連の調査が行われている1。調査は前浜部と沖合の水質の差異からの浄化能の評価、底生生物の摂餌量と生産量からみた有機物除去量、砂泥中の微生物による浄化能に関する調査、室内実験による砂礫の粒径と浄化能に関する研究が行われている。

このうち底生生物による有機物除去能については、葛西人工海浜で119g/m2/yr、稲毛・検見川人工海浜では103g/m2/yrの値が得られ、同時に行った天然干潟(三番瀬、盤津干潟)の解析結果と比較し、人工海浜の浄化能は自然海浜(干潟)の1/3程度にとどまることを示している。

 

表3.14 東京湾内の人工海浜と自然海浜(干潟)の有機物除去能の比較

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また、底質粒径と浄化能の関係に関する実験的研究では、中央粒径0.15〜7mmの範囲内では、粒径の大きい順にCODの除去能が高かったことを示し、その原因として粒径が大きな砂は透水係数が大きいため、好気性細菌の活動が効率的に行われ高い浄化能を示すものと考えている。

 

1 三好康彦ら(1990):人工海浜の浄化能力について。東京都環境科学研究所年報 1990、120-125

木村賢史ら(1991):人工海浜の浄化能力について(2)。東京都環境科学研究所年報 1991、141-150

三好康彦ら(1992):人工海浜の浄化能力について(3)。東京都環境科学研究所年報 1991-2、117-123

赤澤豊ら(1992):人工海浜の浄化能力について(4)。東京都環境科学研究所年報 1991-2、124-134

 

 

 

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