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【底生生物の浄化能:現地観測、濾過速度実験による研究例】

堀江(1991)1は、東京湾を対象として水質や底生生物(付着生物)の現地観測資料および濾過速度実験結果をもとに、生物による浄化原単位を水際線の性状(直立護岸、消波ブロック積護岸、石積護岸、干潟、砂浜)別、海水中の懸濁物質濃度別に整理している(表3.11)。この結果によると、砂浜の浄化能は0.013kg/m2/SSと評価されている。

ここで、浄化能は護岸への付着生物や砂泥中の生物の濾過水量から懸濁態物質の減少量を実験的に求めた値を使用している。

 

表3.11 東京湾水際線構造物の浄化原単位

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さらに、この浄化原単位を用いて2次元3層のリン循環モデルを作成し、数値計算を行い、湾全体の浄化量に対する汀線構造別の寄与率を計算した結果、砂浜についてはその幅が大きいほど浄化量が大きくなることを試算し、また、どのような汀線形態であれ、傾斜が緩い程、浄化量が大きくなることを示している。

 

1 堀江毅(1991):海岸性状と水質浄化能。沿岸海洋研究ノート、28(2)、152-159

 

 

 

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