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【細菌群の浄化能:室内実験と数学モデルによる研究例】

古川ら(1999)1は既述の海水浸透の様子をモデル化し、さらに室内実験により得た砂浜層の硝化速度を用い、硝化作用からみた浄化能と人工海浜設計の代表的なパラメータである砂浜勾配との関係を解析している。

この結果によると、砂浜砂の硝化速度は図3.9に示すようになっており、硝化速度に関してはアンモニア態窒素に対する濃度依存性があることを示している。また、有機物分解能をDOC量の変化から測定し、砂柱中層(10〜20cm深)で23.2mgC/m/h、深部(20〜30cm)で17.2mgC/m/hとなることを示した(図3.10)。

さらに上記の硝化速度測定結果を用いて、数値シミュレーションにより4潮汐分の計算を行ったところ、砂浜を出入りしたアンモニア態窒素のうち、24%が硝化(浄化)されているとの試算をしている。

 

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図3.9 灯明堂海岸砂層における泥深毎の硝化速度

 

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図3.10 灯明堂海岸砂層における場所毎のDOC分解速度

 

1 古川恵太他(1999):砂浜の水質浄化機構の現地観測とそのモデル化。港湾技研資料、No.928、25p.

 

 

 

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