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2.3 既設人工海浜の概況

(1) 人工海浜の定義

人工海浜とは、侵食された海岸あるいは様々な利用要請のある海岸に土木的に砂を供給し、海浜の造成を行うことと定義することができる。

人工海浜の造成が行われる海岸は一般に侵食性の海岸であることが一般的であることから、突堤、離岸堤、人工リーフなどの養浜砂の流出防止施設を設けることにより砂浜の安定を図っている場合が多いが、近年はサンドバイパス工法などの継続的に砂を補給することによって安定を図る例も見られる。

人工海浜の造成目的は、海浜が持つ波浪減衰効果と砂浜の回復による防災機能の向上、海洋性レクリエーションの場の確保が主要なものとなっている。

 

(2) 人工海浜の造成実績

人工海浜の造成は全国的に行われるようになっている。全国を対象とした統計は現在のところ整備されていない模様であるが、平成2年に実施された地方公共団体環境部局を対象としたアンケート調査1では、44箇所が開設されている他、54箇所が計画されている。

人工海浜の造成事例として最初のものは、大阪府貝塚市の二色の浜海岸で、その後、主に海岸環境整備事業を活用した整備が図られ、代表的な事例としては東京湾奥の稲毛の浜、幕張の浜、葛西人工海浜、合浦海岸、神戸市須磨海岸、淡輪箱作海岸などがあげられ、これら人工海浜をフィールドとした調査が各種行われている。造成事例の分布は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などの大都市圏をひかえた内海に多く分布している。

 

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2.3 人工海浜造成事例の分布(平成2年度調査)

 

1 海浜環境保全対策検討会(1995):海浜環境保全対策の今後のあり方−豊かな海浜を子孫に継承するために−、平成3年6月

 

 

 

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