2.2 砂浜海岸に関する基本的用語の定義
本調査で扱う砂浜とは、砂および礫などの一般の海底質よりも粒径の大きな未固形物が堆積したなだらかな傾斜地を指す。底質は、定着性において不安定で、潮汐や波浪により常に動かされ、侵食・堆積を受けやすくなっている。一方、そのなだらかな地形は、海域へのアクセスを高めているため、海水浴に代表されるレクリエーション利用も盛んである。
ここでは、“海岸”、“海浜特有の地形”および付随する基本的用語の定義を整理した。
海岸の部位を示す用語については、海岸工学の分野で使用されるものや生態学の分野で使用されるものなど様々なものがあり、また同じ分野内でも著者によって少しづつ異なる場合もある。このため、ここでは環境庁の自然環境保全基礎調査において使用されている用語を参考に以下のように整理した。
1] 略最高高潮面(高潮線 Nearly Highest High Water Level; NHHWL):国土地理院発行の地形図に描かれている海岸線が目安。
2] 朔望平均満潮位(High Water Level; H.W.L.):大潮期の平均満潮位
3] 朔望平均干潮位(Low Water Level; L.W.L.):大潮期の平均干潮位
4] 略最低低潮面(低潮線:Nearly Lowest Low Water Level; NLLWL):海図等の水深の基準面である基本水準面とほぼ同義。
5] 浅海域:低潮線を上限とし、水深20m(便宜的に決定)を下限とする範囲。
6] 潮間帯:高潮線を上限とし、低潮線を下限とする潮の干満により干出、浸水を繰り返す部分。
7] 飛沫帯:通常大波の限界線から高潮線の間の高波浪により水を被る可能性がある範囲。
8] 海岸陸域:通常大波の限界線から陸側で、道路、住居などの陸域構造物又は陸域植生の限界線までの範囲。
9] 海域:低潮線を境界線とした海側。
10] 海岸域:海岸陸域から潮間帯までの範囲。