素直で礼儀正しく日本や日本語に関心のある学生が多く、その点は気持ちよく授業ができる。日本語学習最初の1年を中国人教師が教え、その後日本人教師+中国人教師(文法担当)へと移行していくわけだが、最初の授業は、ほとんど日本語が聞き取れていない状態。口がなかなか動かない。指示が聞き取れない。いつも使う教室用語から始め、電話の掛け方、訪問時の挨拶など教科書の内容とは別に教えていった。授業の中での会話練習を補足する意味で、定期的に希望者を数人ずつ家へ呼んで、自由会話をする時間を設けている。会話力をつけたい学生は、暇ができると私に電話を掛け、家に遊びに来たり、一緒に買い物に行ったりして、習ったばかりの日本語を実践している。使う場が少ない(市内の日本人は私一人)とはいえ、それでも1年で随分上達した。また、今年は初めて団体で日本語能力試験を受験するため、正規の授業とは別に受験対策の補講を行った。2年間で日本語の授業は終わるが、110人(2クラス)のうち、30人ぐらいは自主的に続けて日本語を勉強するとのこと。日本語コーナー(日本語同好会)も有志で発足したいという話もある。教材も日本人も少ない河南省で少しずつ日本語の論が広がりつつあるのが嬉しい。数年後、日本語科ができるまで、その輪がずっと続いてほしいと思う。
65. 独自の教材づくり
遼寧師範大学 755 小林功
4年生の「総合日本語」(精読)を今年も担当している。教科書は『日語』(上海外語教育出版、84年)、日本の高校教科書などからの小説・エッセイ・評論、それに古典も少し入っている。が、いかにも古く、魅力に乏しいものが多い。中国の先生も学生もそれを感じている。そこで必要なのが独自の教材づくり。ごく最近の例をあげると-
新聞の切り抜きから。「花岡事件」和解のニュース記事と解説、これにふれた天声人語、「花岡事件を知らなかった」という日本の若者の投書。日中戦争に関するテーマは何らかの形でとり上げたい。とりわけ中国東北部で仕事をする者としては。因みに昨年度は合唱曲「悪魔の飽食」(森村誠一詩/池辺晋一郎曲)を聞いた。
テレビの録画から。中国人女性が作ったドキュメント「中国からの贈りもの」。日本での中国人留学生の生活を撮ったこの記録は、中国で10回シリーズで放映され反響も大だったという。その中の、日本で放映された「若者たち」は学生にとっては切実な内容で、見ながら涙を拭う学生もいた。
「精読」の実践では、大学生にふさわしい討論に発展しやすい教材を選び、それを通して会話や作文の力を伸ばせたらと思っている。
66. 中国の明日を拓く創意
長春税務学院 793 黒田律子
●四年生(19人)国際経済学部の『日本経済史/概況』を担当している。学部の特色柄どの生徒も経済学(マクロ・ミクロ)には明るく、日本の経済史・状況にも興味と展望をもって授業に参加している。