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高等教育の門戸が開かれたかのように見えるが、その実、貧しい家庭の子弟は相変わらず門は狭い。入学できたとしても、経済的負担は大変なものだ。原則全寮制のため、アルバイトも管理制約を受ける。長期休業が頼みだ。

いずれにしても、学生の質の低下と教師の担当時数の増加だけが目立ち、根本的な改革とは程遠い。

中国語学部は日本と韓国の留学生が頼みの綱だが、その形態は多様だ。日本でいう「就学生」が増えている。ビザ取得にはこれがてっとり早い方法なのだ。大学も就学生も双方にとって利益になるからだろうか。培訓部、自考部、成人教育、遠距離教育…複雑で、いまだその全容が理解できない。

キャンパスの中で見る学生の層は、まさに様々だ。彼等が何を目標に学んでいるのか。学生達が今、何を求めているのか、学校は理解しなければならない。私の目からは、そうした学生の目線にたった経営と教育とは見受けられない。

まだまだ試行錯誤の改革が続くであろう。

 

48. 過半数が朝鮮族の大学

延辺大学 783 吉田昌弘

 

延辺大学は1996年六つの単科大学が合併してできた総合大学で、現在学生数15,000人、教員数3,000人、過半数が朝鮮族の少数民族大学である。地理的、歴史的関係から韓国、日本とのつながりが深く、日本からの留学生も150人ほどいる。

日本語学部には1年生30名、2年生52名、3年生27名、4年生27名、計136名が学んでいる。教師は中国人15名、内8名は日本への留学の経験があり、日本人は私を含めて3名。

私は3年生と4年生に作文を計8時間教えている。教科書はなく、日本から送ってもらった資料をもとに自主教材を編成している。これまで文章構成法、小論文の書き方を指導してきたが、文章力はまだまだである。これからは、4年生には卒論、3年生には報告書、随想の書き方などを指導していく予定である。教え方は全部任せられており、持ち時間にも恵まれている。コピー機は新しいのが入り、自由に使えるので助かっている。

「私の日本観」の作文の後、実施した座談会(実は懇親会)は、寮生活の者も多いので、楽しいひとときとなった。行事の後は、中国人の先生との交流もあり、生活の潤いとなっている。

課外に短歌会があり、顧問として一緒に活動している。

 

49. 表現力豊かな学生達

上海市工商外国語学院 786 大中紀元

 

私の持っている授業は、日本語会話が12時間と作文指導が4時間と計16時間です。作文指導では、貿易関連分野で、商取引の案内・オファーの受諾・価格の商談・支払条件・条件の商談等、国際的商取引の実際場面での書類作成についての指導にあたっています。「諸君は将来、国際人として各方面で活躍していくことでしょう。

 

 

 

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