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38. ここでは通用しない「直接法」

江蘇省常州旅游学校 770 田中稔

 

1. 会話クラスの適正人員について。

週12時間、日語班4時間を含め、2年生6クラス251人を受け持つことになった。中でも一番やっかいなのが、1クラス53人もいる日語班だ。職業高校でありながら日本へ行くチャンスを秘めていると言うわけか、人気の班(クラス)だ。学校側も地元の期待に大いに応え、定員40人のところを53人も採った。優秀で積極的な生徒もいるのだろうが、そんなことはわからない。とにかく、うるさくて授業にならないのだ。中国人教師と相談し、日語班の授業4時間のうち2時間を2クラスに分け、持ち時間を14にして悩みをひとまず解決した。

2. 教室における使用言語について。

日本語を使って日本語を教える、これが日本語教師だと言われる。だがそんなことはここでは通用しない。大学の、意欲に燃えた20人クラスとは違うのだ。一番効果があった言葉は、「静下来(jingxialai)」(静かにしなさい)と言う中国語だった。中国語は、知っているに越したことはないが、少なくとも知ろうとする姿勢は必要だろう。ところで私も、ぼつぼつ日本語のみの授業をしてみようかなと思っている。

 

39. 1級に全学の84%が合格

浙江師範大学 779 八塚住子

 

この大学は浙江省立で、学生総数は約1万人。全寮制で、敷地は極めて広大。日語科は4年前に創設されたので、元4年生が、第一期卒業生ということになる。1クラスの人数は22人〜31人で、一年生のみ2クラス、他は1クラスずつ。学生は純朴で、非常にまじめ、よく勉強する。三年時に全員が一級の能力試験を受け、昨年は84%が合格した。師範大学なので、彼らは、英語4級、コンピューター1級、他に、普通話の試験にも合格しないと卒業できない。

卒業後の希望は、主として、学院か、専門学校の日語教師になること、または大学進学か、日本留学。しかし、進学や就職のための資料や情報が不足している。日本語に関する学習の本も少ない。日本人は私一人だけで、日本人留学生もいない。

教室はやや古く、しばしば節電のための停電があり、ほとんどの学生は眼が悪い。

担当は、一年生と三年生で、合わせて12時間(45分)だが、他に自由会話をしたり、四年生の進学や就職の書類づくりも手伝っている。間もなく卒論の指導も担当するそうで、次第に忙しくなってきた。

 

40. 試行錯誤の指導実践

江南大学 792 都丸伊佐男

 

江南大学には、日本人として私が初めて派遣されました。それで、大学には日本語教師を受け入れた例がなく、受け入れ体制ができていなかったようです。赴任して教科書が渡され、主任教授から「先生の考えで指導してほしい。」と言われました。私は戸惑いましたが、「自分の力でやるしかない。」と覚悟し、それから2日後指導を始めました。

 

 

 

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