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36. 学校のパイプ役が不在

青島東方外国語学院 600 三木宏員

 

私の担当するクラスは全て2000年8月下旬入学の新入生。担当は中専が2クラスと、2+2が1クラス。中専は、日本の職業高校のようなもので2〜3年で卒業するらしい。2+2というのは、中学卒業後、4年間で大専(日本の短大のようなものらしい)の卒業資格がとれるクラスらしい。中専は『標準日本語初級』を使用し、2+2では山東省の規定とかで、『新編日語』(上海外語教育出版社)を使用している。中専は1クラスに当初50人以上いたのが、11月に入ってから、やめたとか、病気とかで、毎回の主席者は40人を下回るようになったので授業はやり易くなった。2+2は、35〜6人程度。もう2か月以上勉強しているのに、平仮名の読み書きさえまともにできないのがいる。どのクラスも全て日本語を専門として勉強するクラスで、日本語の授業時間数はとても多い。中国人の先生が主に文法を教え、私は主に発音と会話を指導することにしている。試験の問題作成の時には、なぜか我々日本人専家は蚊帳の外。スケジュールや教科書などが予告なく、突然変更されていることが度々あり、教師、学生共にロスが多いと思う。

2000年7月に、本校の纂校長は、私に朝8時から夜の9時まで毎日学生に授業をすることを要求した。又、10月18日には、校長は、1週間に16時間(夜間や休日に学生や中国人の先生方と会話の相手をするのも計上するらしい)授業をしないと、その分給料を減らすと言った。

学校は西と東の2つに分かれており、現在私が勤務しているのは西校。そこの日本語の先生は殆ど、この9月からの新任で、しかも学校と私とのパイプになっている主任の先生は週2〜3日しか学校にこない非常勤で学校の様子は全く分からない。(注)この主任の先生も12月のはじめに本校を離任されたので、ますます心細くなってしまった。

 

37. 大学の日本語教育の問題点を実感

同済大学 368 柳楽宏

 

改革・解放路線の先頭を走る上海市では大学進学率が30%台半ばに達しており、それが学年の目的意識、生活態度などに影を落としている。ある程度知られた存在である当大学も例外ではない。私は4年生・3年生の諸科目を担当しているが、学生の出席状況、授業への集中度、学習習慣の形成などに問題があり、そこから指導を始める必要がある。裾野が広がってきた中国の大学日本語教育の問題点を実感するとともに、派遣教師としてのノーハウを生かす気持ちで取り組んでいる。

同僚のS先生も私も、担当時数が週16時間と多く、また作文の授業は、大体毎時間書かせる文章の添削、誤答の分析などに数時間を要する。各科目の教材研究、資料作成と合わせ、負担は重い。しかし、幸いに日本語学部主任をはじめ中国人教師たちと意見交換や質問応答をしたりする雰囲気があり、専家の目から見た上記のような問題も日本語学部課題として受け止めてもらえる方向にあると感じている。

 

 

 

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