最も重要な教科書の選定については、日語科教師に選定権を与えるか選定の場に参加させるべきであるという意見が毎年出されているのに未だに実現していない。実際、採用された教科書が学生には実力不相応だったり、学年による日語学習の発展段階を無視したものだったりする。教科書ばかりでなく、授業時数にしても卒業までを見通した一貫性がない。日本人教師が一クラスにかかわる時数を見ても、ある学年は突然週2時間に減らされ同じ学年の別の日語系クラスは週8時間というふうである。
さらに困るのは、視聴覚教材といったらカセットラジオしかないことだ。ビデオを使うことができないのだ。科としての予算が皆無な上に教材の蓄積もない為全てを自前で用意しなければならない。黒板の質も悪くマグネットが使えない。経営上の問題が絡むので一クラスの学生数を縮小できないとすれば、会話の授業に限っては、会話力に大きな差の出てくる2年または3年では能力別による編成も、選択科の考えを延長すれば出来るはずだと思う。
とにかく日本語を学んで3年目なのに日本語に自信を持てない学生を毎日見ていると何とかしてやりたいと強く思う。
27. インターネットで日本の新聞情報を…
東北電力学院 810 三橋信行
長年外人教師を受け入れている実績に加え、中国人日本語教師8人中7人が日本留学、日本での教師経験を持っており、安心して授業に専念できる。
学生は各学年20名前後、優秀で向上心旺盛、礼儀正しい。軍事訓練後の1年後期からの日本語学習にしてはかなりのレベル、3年では日本の高校授業並み。気になる点は、文字で学習し過ぎるため会話にゆとりがない。対策として教科書使用は最低限にして、日本の新聞の読み聞かせ(1分300字程度)、文学作品、日本事情の口頭説明中心(主要部分のみ板書)等、文字離れを意識している。
日本から持参又は取り寄せた日本語検定の問題とテープ、高校の社会科資料、国語便覧、日本紹介の日本-その姿と心-」(新日鉄・学生社)・最新のインターネットでプリントする日本の新聞は他の教師への提供も含め活用されている。これらも日本人教師の役目と考えている。
関心の高い一級検定の対策は、中国人教師が行っているため質問に応ずる程度。
大学院進学希望者等の質問も含め、日本語を話しに来室する学生の応対は忙しくも楽しい。
現在、2・3年、院生各4時間、計12時間担当。
28. 日本留学が目的の学生たちに
大連外国語学院 746 中町和子
受け持ちは培訓部の3クラスで、学生は20歳前半の者が過半数を占め、30代の社会人学生も数名いて、24名で編成されている。
目的が日本語学習にあることの一つで世話役の班長の存在もあってよくまとまっている。培訓部の学期は正味4ヶ月が一期である。