23. 良好とは言えない環境で努力する学生たち
淮海工学院 796 前園忠一
理工系の大学であるが、文系が一学部だけある。中文・日語・英語の三学科で文学部になっている。
日語科に関して言えば、学年によっていくらかの温度差はあるものの、学生はきわめて勤勉。礼儀正しく純朴。必ずしも良好な学習環境とは言えない状況のなかで、学生は真剣に努力している。
中国人日語教師の非常な努力によって3・4年生の読解・文法の力は相当に高い。したがって、授業は楽にすすめられる。しかし、会話・聴解の分野はおぼつかない。会話と聴解をどのように指導していくかが、ここの課題だと思う。
日本語を通して日本の文化や日本語の美しさを考えてもらいたいと思っているのだが、言葉学習が精一杯である。せめて読解の時間だけは日本語で考え、日本語で判断し日本語を味わい表現する作業をさせたいと願っているのだが、つい、文型だの語句の意味だのに力を入れがちになる。もっとも、学生がそうした日本語の知識をより多く求めているという実態もある。こうした学生の要望に応えていると、講義は文章解釈のための授業にならざるを得なくなり、日本語能力試験にいかに合格させるかという現実的な課題追求になりやすい。こうした点を辛く思いながらやっている。
24. 検定試験合格一筋に
淮海工学院 812 佐々木伸郎
学生が我々教師に対して礼節を重んじる点、また熱心に学習する態度については感心する。特に、日語科の学生が能力検定考試をめざして、まさに寸暇を惜しんで勉学する様は敬服に価する。しかしながら、その熱心さの反面、学問をする本来の目的である真理探究であるとか、柔軟なものの見方・考え方を身につけようとする意識はやや希薄なのではないかと思われる。検定試験合格一筋のため、寄り道などしていられないのかも知れない。
また学校の歴史が浅いということもあってか、スポーツ施設をはじめ、学生たちが自主的に活動できる、公共の施設設備が乏しい。
モラルに関して言えば、ゴミをところかまわず平気で捨てる、食堂でも痰を吐く学生がいるなど、問題である。この辺の教育をもっと重視する必要を痛感する。単なるスローガンでは解消されないのではないか。
我々の教育条件に関して言うと、印刷機が自由に使えないというのが不便きわまりない。教材づくりのためのコピーは、いつも民間の商店に頼む状態だし、テスト用の印刷は他の教師に依頼するので、1〜2週間の猶予をみなければならない程である。この点の改善は急務と思われる。