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21. できることを精一杯果たすだけ

青島濱海職業学院 558 冨田皓一

 

青島に赴任して5年、学院も創立8周年の式典を新しい広大なグランドで行った。中専から大専へ学生数350人から3,600人と10倍に、校地も10倍、おそらく10年後には100倍にもなり中国一の私立総合大学になるだろう。今迄に派遣日本人教師と家族で延べ20人を教える、何人かの派遣の方が「この学校への派遣は中止すべきである。」との趣旨の報告文も提出されたこともあった。又赴任を断って来られた方も数人おいでと聞いた。学院の実状実態を痛烈なる分析批判の文も多くの先生により記述報告されているのでここでは敢えて触れないことにする。随郷入郷で、日本からの総ての概念をすっぱり置いて来て中国の現実を直視し、どのような経緯、いかなる状況であれ、今、私達がここで出来ることを精いっぱい果たしていきたい。その思いで過ごしてきた。初志忘れず、日本語という言葉の架け橋とボランティア精神で誠実に対処している所存、今でも学生や中国人教師達は厳しい教育・生活条件に置かれている。

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22. 初級者には高度の教科書

山東大学(元山東工業大学) 814 星野洋子

 

本年度から「山東大学」「山東医科大学」「山東工業大学」の三校が合併して新「山東大学」となった。新入生は「山東工業大学」の新設「日本語科」の学生として受験して、新「山東大学」の学生として入学したことになる。但し現在までのところ旧「山東大学」の日本語科の学生とは別の校舎で独自の授業態勢をとっている。後期から合流することになる可能性は大である。その場合新設学科としてスタートしている学生が、日本語科としての長い歴史を持つ本校生に伍していけるかどうか心配である。

30名1クラス全員初級者で、初級会話6時間・精読6時間・聴解4時間の時間配分がなされている。そのうち精読と聴解の授業は中国人の先生が担当し、会話が私の担当である。精読担当の先生とは一応連絡を取りながら授業を進めているが、教科書が比較的高度で初級者がついて行くのは大変な面も伺えるので、できるだけ中国人の先生が教えた後を受けて会話を組み立てる様にしている。

LL教室はあるが、VHSタイプのビデオの使用は不可。テープレコーダーは教師に一台貸与されている。印刷は全てコピーで学生が有料。(但し大学内のコピーセンターを利用すればA4で一枚0.15元)

 

 

 

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