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19. 9年間日本語を学んだのに職場がない

吉林華僑外語職業学院 775 大出正博

 

秦和学長は先見の明があって、1995年に「英語を話せる教育」をモットーに当学院を創りました。2000年にその実績が政府に認められ2001年より4年制の大学になる認可がおりました。別の広い場所に新校舎を建て、現在の校舎は高校だけになります。

学院祭の英語劇コンテストには20団体も参加しています。そういうわけで本学に勤める外教は80%が英語教師です。あとは日語2名、独1名、仏1名、韓1名、露1名です。学生数は本科、専科合わせて2,500名です。

日本語科の教師は専任2名、非常勤6名、外教約2名で、日本語を学習するのは2年と3年の14クラスです。総授業数は150時間位でその内の40時間位を日語教師は担当しています。私が使用しているのは標準日本語中級下と文化初級日本語です。2年間使います。商務日本語科の3年生は9名で来年6月に卒業しますが、「私達は7年間も日本語を勉強してきたのに日本語を使える職がない」と元気がありません。

2年制も当初は9人いましたが3人が転退学し現在6名、来年にはその内の2名が日本に留学する予定です。

 

20. 整った教育環境

北京連合大学旅遊学院 819 宮田宏子

 

北京連合大学旅遊学院は、観光事業に携わる専門家を育成するために、国家と北京市が共同で設立した観光学部単科大学であり、その他多くの文系、理系大学と共に連合大学を構成している。学院は旅遊管理系、旅遊日語系、旅遊英語系…など6つの系統に分かれている。日語系は4学年で学生数250名、中国人教師12名である。教師は全て日本留学の経験があり、資料室には参考書、文法書、辞書、小説、ビデオ等、豊富に揃っていて、教育環境として不自由はない。又、学生は全て北京市民である、政府や軍の要職にある者の子弟が多く、就職が容易であることからキャンパスは陽気でのびのびした雰囲気ではあるが、勉強にあまり熱心ではない。概して素直でおとなしく、朗らかである。学生にとって最大の難関は日本語能力試験をよりもガイド試験であり、従って能力試験は学生の自主に任され、大学は関わっていない。しかし私の赴任を契機に対策を講じることを検討中である。多くの学生が自主的に受験している。私は1・2年の会話、3年の作文、4年の日本文化講座を担当している。

会話のテキストは北京で編集された「しんにほんごのきそ」で、日本のスリーエーネットワークの「みんなの日本語」に酷似している。文型を利用しての口語練習、スピーチ、ロールプレーを組み合わせて授業をしている。作文はテキストがない。単文の推敲に魯迅の「藤野先生」を翻訳する作業と長文の練習に1ヶ月に1・2回作文を提出させることにしている。その他臨機応変、文型練習のプリントを作っている。日本文化講座は来学期からで、これもテキストがない。谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」をベースに、日本文化のさまざまな様態を伝えたいと準備中である。授業は週3日で12時間である。

 

 

 

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