日本財団 図書館


学生達はほとんど東北各地出身の朝鮮族で、中学から日本語を学び、合計9年間、10年間学んでいるので新聞、雑読を読むことにはほとんど問題がない。それらの記事を通して日本の社会をわからせることが目的である。

「作文」は「である調」の文体で書くことを教え、前半の2ヶ月はテーマを与え自由作文、後半の2ヶ月は日本の高校教科書「表現」を用いながらいろいろの形式の文を書かせている。

学生達は高校迄はハングルで教育を受けたためか、中国人学生がする特有な間違いはなく指導しやすい。ハングル、中国語、日本語と3つの言語が達者なので、通訳のアルバイトがあるらしく、ときにはまとまって授業に出て来ない時もある、中高時代に比べ比較的のんびりしているようだ。卒業後は3分の1が日本留学、3分の2が大連の日本企業に就職する。

ここには中国語を学ぶ日本人留学生が30人いて、この人達と相互学習したり“好朋友”(よいお友達)として行き来している。

なお、本学は大連理工大学、大連医科大学との合併で総合大学「と」なることがすでに決定済みである。

 

16. 学生に大きな学力差

湖北汽車工業学院 751 稲沢優子

 

ここは培訓中心といって、汽車工業学院の付属語学センターです。

9月に入学して、翌年11月迄、1年3ヶ月をサイクルとして、毎年新入生を募集しています。12月の第1日曜日の日能試験に合格することを第1の目標とし、第2は日本の各大学に学生を入学させることとしています。初歩からはじめて12月中旬に初級を終え、翌年7月初旬に中級を終わらせ、9月から上級に入りますが、実質的に上級の授業について来られる学生は20%です。だから上級はほとんど授業にならず、受験対策になってしまいます。二年目ともなれば教授法が身についてきますが、それでもあゝすればよかったと時々後悔します。とにかくよくよく日本語に興味を持って、勉強に勉強を重ね、教師たちの質問にも答えられるよう、参考書や文法書もしっかり読んで持参した方がいいです。学生はアジア太平洋大学に奨学金年間90万円付で二人、65万円付で二人合格しました。その内の一人は岩国財団からの奨学生に推薦されて目下書類作成中です。入学金30、毎月10万4年間の条件です。両方もらえたら、アルバイトなしで学業が出来ます。それを種に、新入生のお尻をたたいています。が、親にすすめられて仕方なくといった意欲のない学生も3分の1位いまして、3ヶ月経ったいま、学力に大きな開きが出てきて、これからむずかしくなりそうです。教えている内に、自分の勉強になり、この調子では10年位やらないと一人前になれない気がして、まだずーっと続けたいです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION