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11. 省政府が認めないNHKの衛星放送

華僑大学 727 粂川信也

 

○落ち着いたたたずまいの大学で、学生も落ち着いていてまじめである。

○国立大学とはいえ、華僑の大学なので、華僑の子女も多く、そこが特色となっているが、そのための問題点もある。

○マカオ・香港から来る学生は普通語で会話ができるようになるまで、相当な期日を要し、それが学習の遅れにもなっている。

○地元の学生はミンナン語を話すが、普通語も話す。ただし、ミンナンなまりが強い。

○街のホテルではNHKの衛星放送が視聴できるのに大学の外国語学部でそれができない。福建省がどうしても認めてくれないのだという。おかしな話だ。自由に視聴している。他の省の大学と較べると、語学であるだけにたいへんなハンディである。

○学部の我々外国人教師に対する期待は、中級(2、3年)の会話力養成である。本科1クラス専科2クラスだから、数学的にはどうしても専科クラスの授業中心になりがちである。

○4年の専門教科、卒論指導は、すべて中国人教師が行っている。いろいろ相談も受けるし、手伝いも依頼されるので、その分負担も増すし、歯がゆい思いをすることも多い。頼まれたことは、すべて協力するようにしている。

○昨年から始まった、福州の福建師範大学との親善日本語スピーチコンテストが地元のビール会社の後援で、本格的に根づいた。

日本人教師3人の協力によるものだが、大学との全面的協力の場面でもあり、何よりも学生たちの楽しい交流の機会も、すいぶん多くなった。ありがたい。

 

12. 作文添削は面倒だが楽しい

天津理工学院 542 曽根三坦

 

教授対象は3年生と4年生。おおよその日本語は理解するので、普通の速さで話し授業を進めている。とはいえなるべく板書を心掛けてもいる。

「読解」では、持参した参考書によりあらかじめ調べておき、内容については歴史的背景、社会的背景、日本の風俗習慣等の紹介に努め、語彙については同意語や反対語を授業中なるべく確認するようにしている。9月中、3年生は藤井省三「百年の中国人」(朝日新聞社)から梁啓超、胡適を読み、4年生は「日語第7冊」(上海外語教育出版社)から、野坂昭如「赤とんぼと油虫」、古在由重「わたしと飛行機」、岩崎昶「映画芸術の成立」等をよんだ。

「作文」は、宿題として隔週に提出させ、添削返却している。返却時、皆に共通的な間違いを指摘する。82名の学生や考え方や興味等を知ることができ、面倒でもあるが楽しい作業でもある。

「口語」は、持参の佐々木仁子、松本紀子「日本語総まとめ問題集、聴解編」(アスク凡人社)をプリントし、テープを聞いて練習問題に答えるというやり方。

天津理工学院では、3、4年生全員に、日本語能力試験1級受験を強制的義務としているので、10月〜11月一杯、授業もその対策のために終始し、おおわらわの感があった。

 

 

 

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