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9. この環境で予想以上の学力が…

長春師範学院 728 西田孝

 

二年目を迎えた今、わが身を愧じる。教具、教材等の不備をあげつらい、自分の力不足に無知であったわが愚かさに慚愧する。教育環境が不充分であっても真摯に情熱をもって指導にあたる中国人の先生方。予想以上に学力をつける学生たち。この現実に私は敬服し、心から反省する。(以上 前文)

本校の日語科は、これまで一クラスの専科生を一学年から三学年まで教育したあと新入生を受け入れてきたが、昨年度から毎年学生を受け入れることになり、現在は3年生(25名)2年生(21名)の専科生と本科生の1年生(40名)が在籍している。私が担当しているのは「現在文学」(3年)「日本事情」(2年)「作文」(2年)「語音」(1年)「会話」(1:2年)の6コマ、12時間である。

私はすべての教科で毎時間小テストを実施、設問は日本語検定とリンクさせた内容を心掛けている。「語音」では歌を歌ったり(ハーモニカ・ミニキーボード使用)、詩の暗誦で長・短音の練習をしたり「作文」では添削と同時に誤文訂正の演習をこころみている。また、本年は真珠養殖で有名な三重県志摩郡間崎島の小学生(全校生徒6名)との文通が実現、「日本事情」とも関連し、学生たちもたのしんで取り組んでいる。「会話」は教科書にとらわれない柔軟な対応ができるようロールプレイングを主体に進めているが演技力のある学生たちがいて盛りあがる。昨年度は後半にはディベートができるまでになったので、今年もそれが目標である。「日本事情」は前期に教科書を中心に、後期はゼミ方式で分野別(教育・文化・スポーツ等)に学生が主体的に調べ、発表・質疑・まとめの順序で進めている。「現代文学」は日本の「国語I」(教科書)を使っているが、村上春樹の愛読者がいたり、新聞への投稿で生活費の一部を得ている学生もいて、文学論へと発展させることができてたのしい。学生は真面目。今年は三年生から三人も日本政府(文部省)奨学生として日本への留学が実現したので、「今度は私…」と学習意欲を高めている学生が多い。ほとんどが日本に目を向けている。病欠以外の欠席は皆無。

 

10. 日本の学生相手とは全く違う

山東中医薬大学 799 戸高昭彦

 

担当しているクラスは修士課程1年生と博士課程1年生の2クラスである。修士の方は26名で1週間に2コマ(4時間)博士の方は10名で1週間に1コマ(2時間)である。従って時間的には余裕を持って授業を進めている。この内修士のクラスは6月に行われる大学日語4級に合格することが修士号取得の必須条件であるから、その点を念頭において読解と聴解に取り組んでいる。

学生は素朴で熱心。日本のやる気のない茶髪学生を相手にしていた時とまるっきり違っている。授業はやり甲斐がある。

他に数人の日語教師がいるらしいが、主任の王先生、博士課程を私と共に受け持っている韓先生の二人しか会ったことがない。横のつながりが全く無いのはまことに中国的である。

 

 

 

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