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3. 求められる質の高い魅力ある授業

遼寧大学 825 宮澤彰

 

私が受け持っているのは3、4年生です。日本語科は各学年20名の定員です。授業は7種類(語彙、日本語学、日本経済、ビデオ…4年生が対象 古典文法、作文、日本語能力試験1級試験対策補講…3年生が対象)。学生達は各学年ともに女子が多く、授業に対する姿勢は概ね良好です。向上心が強く勤勉な学生が大半であると言えます。ただ、中には授業中全く違うことをしていたり、居眠りをする学生も若干はいます。テレビでも報道されていましたが、現在中国で最も人気のある言語は英語で、日本語科に来ている学生達は、必ずしも日本語が第一希望だったわけではありません。英語科に進むには点数が足りず、やむなくこの科に進んだという者も、中には混じっているのです。また、ここ数年に亘る日本の不況も少なからず影響していると考えられます。頑張って日本語を学んでも、日本の良い企業に就職できるという希望が持てなくなってきているという現実もあります。それだけに、我々に求められているものが、かつてのそれに比べて強くなってきてると申せましょう。学生達を満足させるだけの質の高い授業、魅力ある授業が、より強く求められていると思います。

 

4. 日本以外で最大の日本語学校

大連外国語学院・日本語学院 788 今泉郁夫

 

私が勤務している大連外国語学院の特徴の一つは、学生数が非常に多いことにあると思います。私は、本科2年生の『会話』2単位・6クラスを担当していますが、1クラスの在籍数は平均40名です。2年生は12クラスあり、私は2年生の半分しか教えていない勘定になります。他学年を見ますと、1年生は2年と同様1クラス40名、12クラス。3・4年生は1クラス20名、8クラスです。日本語科の本科の学生総数は約1,300名、中国人教員約60名(含・講師・助手)、プラス我々日本人教師6名ほど、という大所帯です。これ以外に培訓班という成人教育や通信教育等があり、日本以外の国の大学で、これほど大規模の日本語学校はないのではないでしょうか。この特徴ゆえに様々のプラス・マイナスが生まれています。それは、ちょうど大都市が持つ利点と弊害のようなものかと考えます。利点としては、人間関係が淡泊で自由なこと、平等であることなどが挙げられましょうか。欠点としては、団結しにくいこと、時として他人に冷淡なことなどがあるかと思います。中国人教師の方々も、与えられた授業(我々専家の倍近い人が多いらしい)を消化するのが精一杯で、深く自分の研究に打ち込んだり、我々日本人専家達と親しく懇談したりする余裕はあまりないように見受けられます。学生は、おそらく他大学とあまり変わらないと思いますが、1年時は、バスで1時間以上離れた開発区で学んでいますし、教室も今までは食堂だった所を代替教室にしたり、寮が時々変わったり、あまり快適な環境ではないように思われます。昔に比べて、質が落ちたと言われていますが、素朴で明るく、学習意欲もある彼等と会うのが楽しみです。

 

 

 

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