このような理由から、女性の難治性の尿もれ患者さんには、私は留置カテーテル法よりもおむつの使用を勧めています。
カテーテルを留置するのは、膀胱が麻痺して収縮できず多量の残尿のある場合か、あるいは尿道の閉塞疾患のために多大な残尿を生じ尿が膀胱からもれ溢れ出てくる型の尿もれ(溢流性尿失禁)のある人で、原因除去の手術ができない患者さんに適応となります。しかし、可能であれば留置カテーテル法よりは、1日に5〜8回一定時間ごとに尿をとる方法(間歇的導尿法)が、尿路感染の防止にはより適しています。しかし、いろいろな理由から留置カテーテル法を使わなければならないときには、男性ではなるべく細いカテーテル(14-16F)を用いて、陰茎が上方に向くようにカテーテルの末端部を腹壁に固定することがたいせつです。
カテーテルは脚部に固定した逆流防止弁のついた採尿袋へ繋ぎ、膀胱内に尿を溜めないようにします。入浴時にはカテーテルに栓をします。
長期にわたって留置が必要な男性では、膀胱瘻(下腹部から膀胱に直接穴をあけ、この部分にカテーテルを通して膀胱内の尿を排泄する方法)をつくることを勧めています。その理由は、尿道からの留置法では、時として副睾丸炎を生じたり、尿道の周囲に膿瘍をつくり、これが破れて陰のう皮膚と尿道との間に瘻孔をっくることがあるからです。また、患者さんが誤ってカテーテルを引っ張ったときは、経尿道的留置カテーテルでは前立腺や尿道を損傷し大出血を起こし、出血が止まった後も重篤な感染に悩まされます。しかし、膀胱瘻の場合は皮膚と膀胱との間に重要な臓器がないのでさほど重大な合併症を引き起こさないからです。
女性の場合は、尿道カテーテル留置でよいと考えます。
膀胱洗浄は、血尿などでカテーテルが詰まったとき以外は不要です。膀胱洗浄をするとカテーテル周辺のみに限局している細菌を膀胱全体にまで拡散してしまうからです。カテーテルのバルーンの部分に殻状の結石が付着している時は、尿のpHを調べてください。