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pHが7以上のときは、この結石は尿素分解菌(変形菌など)によってできた燐酸マグネシウム・アンモニウム結石のことがよくあります。結石溶解のためにクエン酸の入った液(ソリューションG液)を就寝前に約80〜100ml膀胱内に注入し、1-2時間カテーテルに栓をして膀胱内に液を溜めておくと、結石が溶解するとともに、結石の付着がなくなり、患者さんのバルーン交換時の苦痛が軽減されることが多いでしょう。さらに、尿を酸性にするために、クランベリージュースやビタミンCの原末3gを服用させます。変形菌などの尿素を分解する殺菌が尿中に認められたときは、3日間有効な抗菌剤を内服させることもあります。

 

9] 間歇的導尿法とはどのような方法なのですか。また、その適用となる病気について教えてください

間歇的導尿には無菌的間歇的導尿*と清潔的間歇的導尿とに分けられます。さらに後者は自己導尿と介護者による導尿とに分けられます。間歇的導尿の本来の目的は、膀胱圧が高く残尿が多い患者の腎機能障害を防止し、尿路感染を予防すること、膀胱の伸展と収縮を繰り返すことにより膀胱機能を回復させる訓練法として用いられてきました。しかし最近、尿失禁の防止対策としても注目されるようになってきました。

尿失禁対策としての間歇的導尿は、現在、神経因性膀胱障害のある女性に広く用いられていますが、老人の尿失禁対策として積極的に間歇的導尿を導入することで、優れた治療成績の報告を行っている地域病院も増えてきました。留置カテーテル法に比べ、カテーテルフリーとなるためQOLが高められること、尿路感染の頻度が低くなること、おむつ交換に比べ労力や時間が節約できるなどの利点がありますが、カテーテル挿入時の疼痛や尿道出血、定時に導尿が行えなかったときの尿路感染の危険性、導尿操作の煩雑さなどの欠点があります。清潔間歇導尿(Clean Intermittent Cathetersation : CIC)を行うためのカテーテルも発売されているので利用すると便利でしょう。

 

*無菌的間歇導尿とは脊髄損傷の回復期に行われる手技で、陰部の剃毛後、医師または看護婦により無菌的な操作でカテーテルが患者の膀胱に一定時間ごとに挿入され、尿が出される操作をいう。

 

 

 

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