用いる管は清潔であるほうが好ましいのですが、管の消毒に神経質にならずに、一定時間ごとに尿をとることのほうがより重要です。というのは、膀胱や尿道に炎症を起こすには一定の細菌数が必要なのです。たとえ不潔な管を膀胱に挿入したために細菌が膀胱の中に入っても、次の尿をとる時間までにふえた細菌の数が膀胱炎を起こす数に達しないなら、そしてこの状態で再び尿がとられたなら、膀胱は空になり細菌は1から分裂しなければならず、問題とならないからです。もちろん、抗生物質等の細菌を殺す薬を飲む必要はありません。この方法は膀胱への神経が損なわれたために、膀胱が麻痺した患者さんに有効な方法であり、失禁を防ぐとともに腎機能の保持にも役立ちます。時として腎孟腎炎を起こすことがあるので、医師の管理下で行うのがよいでしょう。このような患者さんのために、種々の自己導尿用のカテーテルセットが発売されています(図21)。