在宅看護家庭では、トイレに押しボタン式の呼びリン警報機を備えてください。
立ったり座ったりする日常生活動作が鈍いために、トイレに間に合わないお年寄りは室内便器がよいでしょう。選ぶときは値段にあまりこだわらず、少し高価でも安定性がよく、手摺りのついた、掃除がしやすい便器を選ぶべきです。手摺りは麻痺のない側に取り付けるべきであり、左右の交換が可能で安定性のよいものを選ぶとよいでしょう。便器に台車がついていて移動できる型のものがあり便利ですが、必ず台車にストッパーのついたものを選んでください。便器の高さは踵が床に着く高さのものを選ぶことがたいせつです。在宅医療器具の展示店が比較的大きな町にはありますから、そこでよく担当者と相談し、十分品物を確認した上で購入することをお勧めします。
4] 間歇的自己導尿法とは
子宮癌や直腸癌の術後、および脊髄疾患などが原因で生じた膀胱の麻痺のために、前述した溢流性尿失禁を起こします。この型の患者さんの尿もれ対策には、間歇的自己導尿を勧めています。1日に5〜8回、外尿道口より細い管(カテーテル)を膀胱まで自分で挿入して、尿を出す方法です。男性では容易に管を入れることができますが、女性では困難です。私は鏡を用いずに2本の左指を膣口に当てて、管を指の上に滑らせて膀胱に入れるように指導しています。最初はとまどう人が多いのですが、慣れてきますと簡単に挿入できるようになります。膀胱の過剰な拡張を防ぐために、管を入れてとった尿量は、常に500ml以下でなければなりません。