治療がむずかしい尿失禁の対策
1] 在宅老人にはどのようなトイレの設計がよいのでしょうか
ここでは、理想的なトイレについての話をします。
私たち日本人の住居は狭く、外国人に“ウサギ小屋”とさえいわれています。それなのに図20に示したような広いトイレをつくることは、現実離れしていると思われるかもしれません。しかし、理想に一歩でも近づけるように努力することがたいせつです。お年寄りと一緒に住み、これから家を新築する人は、ぜひ参考にしてほしいと思います。
お年寄りの部屋の前にトイレをつくってください。可能ならお年寄りの部屋の中の一部にトイレ室をつくることができれば理想でしょう。トイレとお年寄りの居間との距離は10m以内とすることが望ましいとされてきましたが、1991年の信州大学医療短期大学部の調査結果では6m以内と6m以上とでは尿失禁頻度に差が出たと報告されています。現在の状態のままでお年寄りの部屋をつくらなければならない場合は、お年寄りの部屋はいちばんトイレに近い部屋を選んでください。