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表15 排尿筋付随収縮と骨盤底筋脆弱(尿道括約筋脆弱)とに起因する尿失禁

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*膀胱訓練法では薬物療法を併用

 

その他の手段として、膀胱の神経叢をフェノールで遮断する方法があります。この方法は結果が確実でないこと、長期の経過観察で再発が多いことなどの批判があり、現在施行している医療機関は少なくなりました。

手術療法としてさまざまな方法が報告されていますが、確実な手技はありません。「膀胱の収縮をいかに小さくするか」と、「膀胱の容量をいかに大きくするか」が、その目的です。期待できる手術手技は、小腸を用いた膀胱拡大術でしょう。膀胱を“口を開いた蛤(はまぐり)”のように横の切開を大きく加え、ここに切り開いた小腸を縫い込む手技が欧米でよく行われるようになってきました。私たちの経験からも、この手技は比較的満足できると思います。

いずれにせよこの型の尿もれに対する手術手技は患者さんの負担も大きいので、最後の手段と考えてよく、その手術結果も腹圧性尿失禁の手術結果と比べてよくありません。手術手技にいたる前にさまざまな保存的手段を考慮すべきでしょう。

混合型の尿もれには、まず薬を服用させながら膀胱訓練法を指導しています。尿もれが改善しない患者さんには、骨盤底筋訓練法を併用させています(表15)。

 

 

 

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