在宅訪問看護をうけている人たちの尿もれの現状と対策
病院から在宅療養へと高齢者の病気の治療の場が移りつつあります。家族介護による老人疾患の対処は今後増加することは間違いありません。人生として残り少ない年月を意義ある有為な生活を過ごすことができるように対処しなければなりません(老人のQOL)。
老人の家庭介護の上で大きな問題の1つが尿、便の失禁です。在宅老人が施設入所する理由の1つに尿・便失禁が挙げられており(80%)、介護者の負担が大きいことをうかがわせます。
老人の失禁対策の1つはマンパワーなのです。十分な人手があれば、かつ経済的な余裕があれば理想的な介護ができるのですが、限られた予算の中で、限られた人数で介護の効率を上げるには、専門職(失禁アドバイザー等)の介入が必要となります。この1つに訪問看護ナースステーションの設立があります。尿もれについて専門的な知識をもった看護婦が主となってチームを作り、患者に適した治療を行うことができれば理想的です。
私たちのリハビリテーション病院での調査結果から脳血管障害のある患者の失禁対策で最も大切なことは、ADL(activity of daily living)の再獲得であり、尿失禁を防ぎ、また悪化させないためにはリハビリテーションが最もたいせつな要因であるという結果でした。
この事実から在宅訪問看護を受けている患者にとって「寝たきり状態」にさせないことが、尿・便失禁の治療につながることを強調したいと思います。