大脳皮質からの命令をはじめ、脳の各部位からの命令は延髄の橋にある上位排尿中枢を介して脊髄へ中継されます。脳内の各部分の排尿に関係する領域は大脳皮質の排尿領域と密接な連絡を保っています。
年をとりますと、多くの人に脳の血管障害が出てきます。脳の血管障害を起こしやすい内包や視床を、大脳皮質から延髄への排尿中枢の経路が通っています。これらの部位が損なわれますと大脳からの抑制命令が伝わりにくくなり、膀胱に尿が溜まりトイレに行きたいと感じるとすぐに膀胱の収縮が起こり、我慢できずに尿がもれてしまいます(切迫性尿失禁;無抑制型神経因性膀胱)。
上に述べました随意筋とは、手や足の筋肉のように自分の意思で動かすことができる筋肉で、体性神経によって支配されています。一方、不随意筋とは、胃や腸、子宮それに膀胱などの内臓の筋肉のように自分の意思で動かすことができない筋肉であり、自律神経によって支配されています。