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ほんのわずかな発達を見逃すことのないよう、繰り返し繰り返し実践していく過程で、新しい刺激を与え、できた時の喜びを共感し合っていくことを聞いて、乳児保育も同じだと思いました。しかし、乳児の場合は、発達も著しく、情緒の安定が基盤となって情操、社会性が育つ時期であり、生理的欲求、身体的欲求、心理的欲求を充足させる人的環境と“三つ子の魂百まで”の諺のように意欲と思いやりのある子どもに育てるには、二足歩行にむかって驚き、発見、好奇心、興味の湧いてくる環境を設定し、心情面をとらえて、人格形成の大切な時期に何を育てるかを充分配慮して援助することを忘れないようにしなければなりません。子どもは“活き活きと生きる”というバイタリティを持ってます。いろいろな研修や乳児から教えてもらうことを通して、乳児保育は奥が深く実践をすればするほど、重責な誇りのある大切な仕事であると痛感しています。

保育士は、一人ひとりの心身の著しい全面発達を把握し、その時その場面に応じて適切な援助の仕方、技術を身につけておかなければならないと思います。そして人的物的環境を整え、24時間サイクルの中で、家庭での生活リズムと集団保育のリズムがその子に合った快いリズムであるかどうか、子どもの心の目の高さになって、目配り気配りをして、一人ひとりの子どもの存在を受容することから信頼関係ができ、愛情が生まれてきます。「愛」を持って保育することで、子どもが「私は愛されている、大切にされている」という気持ちが持てるようにすることが大切です。このような気持ちで保育できるようになるには、並大抵なことではありません。「赤ちゃん大好き。保育って楽しい。この仕事は素晴らしい仕事である。誇りに思う」という気持ちになるには、相当の年数がかかりました。

 

 

 

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