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(8) 専門職の連携(乳児発達検討会)

乳児保育は保育士と栄養士と看護婦の連携のもとに、赤ちゃんを快適に生活させながら、心身ともに健やかな成長を遂げさせる所にその目的があります。前にも述べた個々の保育日誌からの情報をもとに月1回「乳児の発達検討会」が開催されます。参加者は乳児担当クラス主任、看護婦、栄養士、主任保育士、園長の5名です。この会が開催されるまでにそれぞれの専門職は乳児一人ひとりの1か月分の健康状態、栄養管理の実態、発育発達に関する綿密なデータを準備します。看護婦が作成する「健康観察個人カード」は一日の健康状態と一日2回の体温測定、哺乳時間と量、離乳食の摂取時間と量、便の状態の推移等が月単位で一覧できる形になっています。栄養士の作成する「栄養管理計画カード」は月2〜3回の身体測定をもとに身長と体重のパーセンタイル値、一日体重増加量、カウプ指数を計算し、その子の体重に見合った必要なカロリー数から割り出した離乳食の内容と調乳量を提示します。遺伝的な体格とか体重の増減に対する対策も、しっかりした根拠のもとにたてることができます。ですから栄養士からの報告は数的データが中心となります。保育士は、日常的に観察される身体機能の発達や情緒、知能の発達の推移について、定期的に実施される「デンバー式発達検査」の結果を根拠に報告します。また、特徴的な発達の個性についても、家庭環境や親の育児観を踏まえながら報告されます。これらのデータは定期的にあるいは必要な都度、家庭に連絡されます。心身ともに順調な発達を継続している子に関しては、取り立てて議論はしませんが、順調に増加していた体重が正常範囲外で推移した時、または発達検査の領域に疑問な部分が認められるような場合には、時間をかけて十分に検討されます。

 

 

 

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