日本財団 図書館


医師はすぐにかん腸をして少量の血便を確認し、大きな病院を手配してくださいました。幸いに発見が早かったので高圧かん腸のみで整腹し、大事に至ることもなく2〜3日で登園できるようになったのです。以来理由もなく断続的に泣く時は「腸重積症」という突発的な怖い病気も可能性のひとつに入れることにしています。その後も長い期間に2度あり、何れも手術に至ることなくすみました。

ウ. 脱水症

1歳近い子だったと思います。前日も下痢をしていて夕方、受診を勧めて帰しましたが、受診しなかったようです。両親とも教師で公開授業の準備とかで忙しい毎日でした。次の日、いつも通り登園し、お母さんの「眠いようです」の言葉通り、腕の中でうとうとしていました。「昨日、受診しましたか?」という問いに、「大丈夫そうだから行かなかった」とのこと。「昨夜は下痢しませんでしたか」と聞くと、「食事を調整したけど、あまり食べないので下痢の回数も少ないです」といいながら、忙しそうでそれ以上の質問を受けつけない様子でした。とりあえず受け取り、ベッドに寝かせましたが、眠りの様子がいつもと違います。顔色も悪く、薄くつぶった目の中で目玉が動いていて、唇がカピカピに乾いています。明らかに脱水症状で、眠っているのではなく意識が朦朧としているのだということが見てとれます。これも、初めに嘱託医に連絡し、次にお母さんに連絡を取りました。「忙しくて行けない」ということでしたので、「この状態でお母さんの仕事が終わるまでは待てないので、園で病院に連れていく」旨をお話ししましたら、初めて事の重大さに気づかれ、すぐに行きますということで、病院に来ていただきました。即入院、輸液で大事に至ることはありませんでしたが、忘れられない出来事のひとつです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION