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(7) 乳児保育あんなこと、こんなこと

長い乳児保育の経験の中で忘れられない出来事がいくつかあります。これから乳児保育を始める園のご参考になればと思います。

ア. 泣き止まない子

冬の朝、いつもはご機嫌で登園する6か月のAちゃん、不機嫌そうに泣きながら登園。しばらく抱っこしていても泣き止まず、うとうと眠りそうになっても眠れない。ミルクもうるさそうにして受けつけない。いつもの様子と違うことに気づいた保育士は裸にしてみることにしました。長着を着ているのですっぽり全身が包まれ、寒かったのでちっちゃい靴下も履いていました。裸にしてみてもどこにも異常はありません。最後に靴下を見て驚きました。お母さんが足が冷たくないようにと履かせた靴下、脱げないように輪ゴムが巻かれていたのです。そのゴムがきつ過ぎて血行が滞り、ちっちゃい足が赤紫色になっていたのでした。どれだけ苦しかったか…。しばらく暖めて優しくもんでいるうちに色も普通に戻り、ご機嫌も取り戻しました。以来、冬の靴下、見逃せません。

イ. 腸重積症

私の保育士経験の中で3度もありましたので、発生の確率の高い病気だと思います。これも、朝、泣きながらの登園でした。抱っこしたりおんぶしたりして、時には泣き止んで遊び出したりもするので、「今日はご機嫌が悪いのね」くらいに思って、お昼近くまで様子を見ていましたがどうもおかしいのです。「断続的に泣く」…で、はたと思い当たったのが「腸重積症」、もし、そうだとしたら一刻を争う事態であり、急がなければなりません。すぐに嘱託医に連絡し、見て頂けることを確約してから、保護者に連絡、何でもないかもしれませんけれど、とりあえず病院まで来ていただくことにして受診しました。

 

 

 

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