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III 乳児保育における保健

―保育所看護婦の立場から―

全国保育園保健婦看護婦連絡会会長

遠藤幸子

 

1. はじめに

いわゆる乳児保育は、3歳以前の子どもの保育に始まり、その実践のつみ重ねと保育ニーズの高さから、徐々に年齢が引き下げられ生後57日目からの産休明け保育の開始に至り、今では一般保育となっています。

産休明け保育の開始にあたっては、周囲に不安の声も多く慎重に準備が進められたといいます。生後2か月たらずのまだ首もすわらない乳児です。それまで保育所が蓄積してきた保育のノウハウだけでは対応できない部分があります。研修会には、環境はどうあるべきか、乳児の発育・発達、養護、疾患についての学習や、緊急時の対応方法、栄養についてなど、見学・実習等の多彩なプログラムが盛り込まれました。

それから30数年、産休明け保育を通して、保育者は乳幼児の発育・発達にどうかかわることが、それをよりよく手助けすることになるかの見通しが深まるようになりました。子どもの育ちと保育のかかわりが産休明け保育を通してより現場に実感されるようになってきたのです。言い換えるなら、保育所保育に厚みがもたらされてきたともいえるでしょう。

乳児保育における保健も同じことがいえます。私たち保育所看護婦・保健婦・助産婦(以下、保育所看護職と称する)は、乳児保育の開始に伴い保育所に導入されました。

 

 

 

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