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2. 「生活の場」をつくる

保育所は乳児にとって『昼間の家庭』であり、『生活の場』『生きる場』なのです。保育所保育指針に「保育室は、子どもにとって家庭的な親しみとくつろぎの場となるとともに、いきいきと活動できる場となるように配慮する」(第一章 総則 1 保育の原理 (3)保育環境)と記され、養護的視点と教育的視点から環境を構成することが求められています。このことを踏まえて保育者は乳児への深い愛情と理解を持って、適切な養護的・教育的環境を用意する責任があります。

 

a. くつろいだ家庭的雰囲気を大切にする

乳児が長時間過ごす「生活の場」としての保育室は、生命の保持と情緒安定のために、まず保健・安全面など環境保健への配慮は勿論のこと、家庭的な親しみとくつるげる場を用意する心理的な配慮が大切です。家庭的雰囲気は親しみやすく緊張やストレスのない安堵感に満たされます。保育室は学校をモデルにするのでなく、家庭をモデルにした「生活の場」が用意されてこそ、乳児の情緒が安定します。「教室型」の保育室をアットホームな「リビング型」の保育室に変えていく保育者の発想の転換と創意工夫が求められます。乳児保育の歴史が浅いこともあって、乳児保育を個別保育としてよりも集団保育としてとらえ、乳児を集団として保育するためには、自ずから広い空間が必要となり教室的な環境構成になってきます。しかしながら、特定の保育者との関わりを大切にした小グループの担当制の保育を実践しようとすれば、各グループが安定して過ごすための空間が必要になってきます。グループが小さくなることだけでも家庭的要素の1つであり、保育者の乳児への対応も個別的で静かで落ち着いた雰囲気がごく自然であり、乳児に安らぎを与え幸せな日々が過ごせます。

 

 

 

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