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a. 乳児を受容し保育者との心の絆を結ぶ

どんなに未熟な乳児でも、人間として生きる権利、発達する権利、そして幸福になる権利があります。乳児保育では、まず乳児を一人の人間としてその人権・人格を尊重し、温かい愛情でありのままに受容することから始まります。乳児は、保育者によって生命を守られ、愛され、受容され、世話をされることによって、情緒が安定して、保育者との信頼の絆が結ばれ、保育所生活が安心感と幸福感に満たされます。このことが、人生の初期に人間として育つための第一歩であり、やがて自分を受け入れ、人を愛し、信頼する力へと発展していきます。乳児期が基本的信頼感の形成期といわれ、集団であっても乳児への個別的な対応を優先し、重視することが大切なのです。

 

b. 基本的欲求を充足する

乳児が安定して保育所生活を過ごすには、乳児一人ひとりの身体的・生理的欲求と精神的・心理的欲求の両者を充足することです。これらの基本的な欲求は不可分離であり、何れが欠けても乳児は情緒不安になり発達が阻害されることになります。

身体的・生理的欲求の充足は“からだの養護”ともいわれ、空腹になればお乳を飲ませて貰い、おむつがぬれたら取り替えて気持ちよくしてもらい、眠くなれば快適な環境の中で眠らせてもらうといった日々の日常的な世話を、ただデイリープログラムに合わせて機械的義務的にするのでなく、個人差を踏まえ一人ひとりの欲求に応じて愛情こめた保育者の対応が不可欠なのです。

 

 

 

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