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便の性状もふだんからの体温の変動も、泣き方も、子どもにとって初めての体験で現れる症状だから個人差があるのも当然だけれど、更にそのときそのときによっての反応も違うということです。しかし「習うより慣れろ」で、毎日の保育を通じて、一人ひとりの乳児のくせや傾向などいつの間にか理解できるようになり、その時々に応じた対応がとれるようになっていきます。

しかしこういったことも母親であれば一対一ですから、母と子はお互いに理解し合い結びついていきますが、集団保育では複数の乳児に接するのですから、特に意識して一人ひとりの健康なときを観察していないと、夫々の乳児と保育士との呼吸が合わないということも起こりかねません。

0歳児、1歳児は発育していくことが準備されているとはいっても、その時々の保育士と乳児とのかかわりが発達を促す大きな力となっています。それは子どもの発する泣き声や様子などに保育士がどうかかわるかです。そして健康なときの子どもをよく見るという簡単なことの積み重ねが、乳児に起こることの多い病気や異常の発見の力にもなります。

対象とする乳児期は、歩けなかった赤ちゃんが歩けるようになり、言葉が理解できるようになり、排泄を教えたり、また保育する者との心の結びつきなど大切な発達が進行していくときです。従って子どもが今、どのような段階にあるのかということを常に意識していなければなりません。この乳児は今何ヵ月だろうか、何歳だろうかということを心において、それならばその頃の発達はどのような状態という基本的な知識を整理しておきます。かつて勉強した頃のことを思い出し、ときに教科書を引き出して、毎日の忙しい保育を冷静に反省してみることです。

 

 

 

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