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I 乳児保育のポイント

日本保育園保健協議会会長

こどもの城小児保健クリニック

小児科医 巷野悟郎

 

1 乳児保育にあたって

乳児保育が対象となる乳児は、入園時の産休明け(生後8週間)から満1歳までの0歳児です。しかし、4月から翌年の3月までの間には、2歳近くなっている子どもがいます。従ってここで乳児保育と言ったときの対象とする子どもは、0歳児、1歳児として考えることにします。

胎児が育っているお腹の中は、無菌で一定の温度で十分な栄養が補給され、外部から守られています。そこでは精子と卵子が一つになって、胎芽から胎児となり、人間の形が作られていきます。

平均して280日間の胎内生活を経て生まれてきた新生児は、産声とともに私たちの生活する環境で呼吸を始めます。更にその後初めて乳を飲んで自らの生命を維持するとともに、環境との戦いが始まります。

そして同時に直面するのが、細菌やウイルスなどの微生物です。しかし幸いなことに、新生児は胎児の頃に母親から貰った免疫物質があるし、母乳栄養であるならば、更に母乳中に含まれる免疫物質の助けも借りて、これらの微生物に抵抗します。それでも2ヵ月くらいたつと、環境の変化に対してかなり順応できるようになるし、あやせば笑うというように人とのかかわりの兆しが見えはじめてきます。

 

 

 

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